Camino 新ロードマップ
This article was originally posted by Mike Pinkerton for his own weblog on 25th July, 2005.
ここで少し時間を取って、新しいロードマップを描き、その背景について見ていきたい。0.8 をリリースしてからもう一年が経った。しかし、過去 13 ヶ月間にわたって、大きな機能追加や修正を施したアップデートを 4 回リリースしているし、トランクからのバックポートも行った。つまり、一年間何もしなかったわけではないのだ。2 つの出来の良いアルファ版を公開した今、すぐにでも次の大きな一歩を踏み出せるわけだ。
個人的には、現在トランクは非常に良い状態を保っていると見ている。確かに、幾つかよく知られたリグレッションが残ってはいるものの、全体的にはリリースを出すにあたって必要な条件は満たしている。Mozilla は明日にでも Mozilla1.8 に向けたブランチを作成する予定だ 【訳注:1.8 ブランチは、2005年 8月 12日に作成された】。これから先の数ヶ月は、少なくともトランクにある tinderbox の一つ (恐らく binus) をブランチに移動させ、そのブランチ上で作業をすることになる。だからといってトランクを捨ててしまうわけではない。新しい開発状況の最先端にいることはとても重要だ。ただ、取り敢えずは開発の焦点と品質保証作業のためのすべてのリソースをブランチに振り分け、それから Firefox 1.5 の成果へと注意を向ければいい。
プロジェクトに関わる私たちの多くが、プロジェクトでの日々の出来事に強い関心を払っている。ただ、こうした姿勢が原因となって、公の場では実際にどのように受け止められているのか、という事情にやや疎くなっている面がある。あらゆる欠陥、あらゆるバグ、あらゆる目立つ欠点に目を奪われてしまい、そのビルドに「ファイナル」という位置付けを与えることができなくなってしまっているのだ。こうした欠陥には深刻なものもあるし軽微なものもあるが、日々寄せられるバグ通知のメールやフォーラムに寄せられるリグレッション報告に圧倒されてしまい、多くの人が、私たちの作っている製品を心から気に入ってくれているということを見失いがちなのが現状だ。「はじめに言っておきたいけれど、このブラウザをとても気に入っているんだ。そしていろいろ手を尽くしてみたんだが ...」と始まり、その 2、3 行後には非常に細かな点について滔滔と語るようなフィードバックメールを数え切れないほど受け取っている。そうした細かな点は、最近のナイトリーで修正されたものだったり、0.4 といった大昔から備わっている機能についてだったりする。でも、たとえバグが沢山あったとしても、皆は Camino を試してみて、「ありがとう」といってくれるくらいには気に入ってくれている。
私たちは、こうした人気の伸びを利用して、自分たちの殻から抜け出さなければならない。私たちは意を決して、1.0 を送り出さなければならないのだ。それまでにはどのくらいの道のりがあるのか? 個人的には、私たちは他の人たちが考えるよりも、もっとずっと近い位置にいると考えている。確かに、まだバグはあるし、0.8 から引きずっている描画関係のリグレッションもある。しかし、基本的には、非常に安定して、速く、無駄のない、必要な機能はすべて備えた状態にあり、1.0 の旗を立てる準備は整っているといえる。Safari がリリースされた時に、私たちも 1.0 を宣言するべきだと Netscape で真剣に話し合った時のことを、Simon は思い出させてくれた。もう何年も前のことだ。あれからだったら、もうバージョン 3.0 に達していてもおかしくないくらいだ! Safari 1.0 にどれだけ沢山のバグがあったかを考えてみてほしい。Safari に限らず、1.0 に達したあらゆるアプリケーションも。いつまでも、同じビルドをちまちまと磨いてばかりいてはいけないのだ。真の芸術家は作品を発表する。
公の見方では、ユーザの関心を巡って Firefox とつばぜり合いを演じてもいることになっている。Firefox がこの秋に 1.5 に達すると、私たちは「バージョン番号戦争」でますます遅れをとることになる。私たちはバージョン番号には特に意味がないことをよく理解しているが、逆に言うと多くの人にとっては意味のあることなのだ。バージョン 1.5 かバージョン 0.9 のどちらを取るか? ほとんどの人には難しい決断ではないだろう。こうした決断の背後にある本当の理由は実際には分からないものの、それでも私たちが立ち向かわなければならない要素の一つではある。
こうしたことを総合的に判断して、Simon と私は Camino の新しいロードマップを書き上げた。要約すると次のようになる。
- 近い将来に 0.9beta をリリースする
- 2、3 ヶ月で作業を完了できる程度のクラッシュバグや主要なリグレッションを 1.0 に向けて洗い出す
- フィードバックおよび残りの重要課題を解決する手がかりを得るために 1.0 「リリース候補」ビルドを公開し始める
- この秋に 1.8 ブランチから Camino 1.0 をリリースする
Mozilla は 1.8 のブランチ作成を明日に予定している 【訳注:前述のように、実際の 1.8 ブランチ作成は 2005年 8月 12日に行われた】。先にも述べたように、このブランチにリソースの多くをつぎ込む予定だ。そう。つまり、チェックインの際には 2 つのツリーに対して作業が必要で、開発者にとっては少々きついことになるだろう。しかしこれは、安定したブランチでは必要な作業なのだ。また、ナイトリービルドに Java Embedding Plugin を梱包 (これで Java 周辺にある既存のバグの 90% を一網打尽にできるはず) するといった、幾つかの作業も残っている。しかし、この 1、2 週間のうちにベータ版を公開するまでに漕ぎ着けられるはずだ。
ベータを宣言したら、正式な 1.0 を送り出すためにすべてのリソースを集結させる。「リリース候補」ビルド (あるいは、ユーザが「ファイナル候補」と勘違いしないような呼び名なら何でも良いが) を、一ヶ月に一度のペースで送り出したいと考えている。ここで鍵となるのは、進捗状況をきちんと公表すること、そして目標到達のために何が必要なのかについてのフィードバックを得ることだ。また 0.9 ファイナルについて触れていないことに注意してほしい。完全に取りやめたわけではないが、現時点では 0.9 をリリースしても、1.0 という目標の妨げにしかならないだろう。1.0 の登場がどうしても遅れそうな場合は、その場つなぎとして 0.9 ファイナルを出すかもしれない。しかし、私はこうしたケースを想定していない。現在のような小さな開発チームでは、1.0 の一点に集中する必要がある。
さらに、私たちはこれからの数ヶ月に渡って Camino のプロモーションに力を入れたいと考えている。まだその時期じゃないと言う人がいることや、1.0 の名に値しないものを世界に向けて公開した場合、面目が丸つぶれになってしまうと懸念する声があるのは分かっている。そうした指摘にはまったく同意する。ただ、皆は私が日々受け取っているフィードバックを目にしたことがないだろう? 私たちはこの 3 年間にわたって一生懸命に頑張ってきたし、今こそ皆がその成果を享受すべき時だと思う。完璧ではないかもしれないが、それは 1.1 までの課題にしよう。
1.1 に関して触れておくと、このビルドは 1.0 で実現できなかったあらゆるものを盛り込んだ非常に大きな製品になると確信している。構造上の大幅な改良点や新機能 (RSS?)、さらなるバグ修正などだ。1.0 が最終到達点ではない。ただの 1 ステップにしかすぎない。もちろん、非常に大きなステップだが、長い目で見ればその中の一つでしかないのだ。
